購買行動モデルについて
マーケティングを行う上で、ユーザーである消費者がどのようにして商品を知り、購入に至るのかということを知っておく必要があります。
この記事は、消費者の購買行動モデルと呼ばれるものについて説明していきたいと思います。
- 購買行動とは
- マスメディアが情報収集の中心だった時代の購買行動モデル
- インターネット検索で情報収集する購買行動モデル
- SNSが情報収集の中心となった購買行動モデル
- コンテンツマーケティングで情報収集する購買行動モデル
購買行動とは
まず初めに購買行動とはどういった意味なのでしょうか。
Googleで検索してみると、
購買行動とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの行動過程のことで、モデル化したものを購買行動モデル
と書かれています。
マーケティングにおいて、商品が売れる仕組みを作るためには、消費者がサービスを目にしてから、購入に至るまでの心理や実際の行動を把握することが重要となります。
そこで購買行動モデルを想定することで、適切な方法とタイミングで商品をPRすることができるようになります。
また消費者の購買行動は、時代の流れによって変化しています。
最近は商品やサービスの情報に触れる媒体、メディアの形は常に変化しているため、時代の変化に合わせてマーケティングスタイルを変化させていくことが求められています。
それでは、購買行動モデルの種類について、これまでの歴史を振り返りつつ確認していきましょう。
マスメディアが情報収集の中心だった時代の購買行動モデル
昔は企業からの情報を、不特定多数の人が一方的に受け取るのがマスメディアによる広告により商品を世の中に認知していました。
マスメディアには、『新聞・雑誌・TV・ラジオ』が当てはまります。
マスメディアによる広告は現代でもまだまだ大きな効果をもたらしており、マスメディア時代の購買行動モデルは数あるモデルの基礎となっています。
ここでは、代表的な2つの購買行動モデルを詳しくみていきましょう。
AIDMA(アイドマ)
Attention 注意や認知 |
CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest 興味や関心 |
企業の商品やサービスに関心を持つ |
Desire 欲求 |
商品やサービスを「欲しい」と感じる |
Memory 記憶 |
商品やサービスを記憶したり思い出したりする |
Action 行動 |
商品やサービスを実際に購入する |
まずはAIDMA(アイドマ)と呼ばれるモデルです。
AIDMAは、日本で長い期間活用されている購買行動モデルのひとつであり、セールスの基礎となっています。
消費者の各行動プロセスは上のとおりです。
AIDMAのポイントとしては、商品やサービスを記憶したり、思い出したりするという過程があることです。
人は、興味や関心を抱いたものがあっても、しばらくすると購買欲求が低下したり、忘れてしまったりするものです。
そのため顧客に自社が提供するものをより長期間記憶させたり、強く印象付けるための工夫が必要になります。
AIDCAS(アイドカス)
Attention 注意や認知 |
CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest 興味や関心 |
企業の商品やサービスに関心を持つ |
Desire 欲求 |
商品やサービスを「欲しい」と感じる |
Conviction 確信 |
商品やサービスを「必要だ」と確信する |
Action 行動 |
商品やサービスを購入する |
Satisfaction 評価 |
商品やサービスに対して満足を得る |
AIDCASはAIDMAをベースにした購買行動モデルです。
AIDCASの場合は、顧客が商品やサービスに確信を持つことや、商品購入後の評価をつけることがポイントです。
AIDCASの購買行動モデルが適用されるのは、主に大きな決断を迫られる高額商品です。
消費者は、自動車や住宅など、人生の中で最も大きな買い物となり得るものに対しては確信をもち、納得した上で購入する傾向があります。
インターネット検索で情報収集する購買行動モデル
続いてインターネットの普及に伴って変化した購買行動モデルについて見ていきましょう。
インターネット時代の購買行動モデルは、一方的だったマスメディア時代の購買行動モデルに比べてより複雑でフェーズの数も多くなっていきます。
AISAS(アイサス)
Attention 注意や認知 |
CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest 興味や関心 |
企業の商品やサービスに関心を持つ |
Search 検索 |
商品やサービスについてインターネットで検索する |
Action 行動 |
消費者が商品やサービスを購入する |
Share 共有 |
商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューを投稿をする |
AISAS(アイサス)は、消費者が商品やサービスについてインターネットで検索したり、情報拡散したりする動きをモデル化しています。
インターネットにより情報を自ら探すことも発信することもできるようになり、その変化は購買行動プロセスにも影響を与えています。
スマホの普及によって、消費者は気になった商品やサービスの情報を検索するという行動を起こします。また、実際に購買した後は感想やレビューといった口コミ情報を、気軽にSNSで拡散する動きがあります。
AISCEAS(アイシーズ)
Attention 注意や認知 |
CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
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Interest 興味や関心 |
消費者が企業の商品やサービスに関心を持つ |
Search 検索 |
商品やサービスについてインターネットで検索する |
Comparison 比較 |
複数の商品やサービスを比べる |
Examination 検討 |
複数の商品やサービスの中から選択する |
Action 行動 |
商品やサービスを購入する |
Share 共有 |
商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューの投稿をする |
AISCEAS(アイシーズ)は、AISASをベースにした購買行動モデルです。
こちらは消費者が商品やサービスについて比較したり、検討したりするという段階が含まれます。
インターネットやスマホの普及によって、消費者が自由に商品の口コミやレビューを発信できるようになりました。
最近では比較サイトや個人ブログなどでは、ひとつの商品に対してより詳細な情報を得ることができるため、購買までにより時間をかけて吟味する行動も当たり前となっています。
MOT(モット)
ZMOT Zero Moment of Truth |
「ズィーモット」と読む。消費者は購入するものを店舗を訪れる前に決める |
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FMOT First Moment of Truth |
「エフモット」と読む。消費者は店舗の商品を見て購入するかを決定する |
SMOT Second Moment of Truth |
「エスモット」と読む。消費者が購入した商品を継続して購入するかどうかを決める |
TMOT Third Moment of Truth |
「ティーモット」と読む。消費者が商品に愛着を感じてリピーター・ファンになる |
MOT(モット)はMoment of Truthの頭文字を取ったものです。
日本語に直訳すると「真実の瞬間」と略されます。
マーケティング用語としての意味は、消費者が企業や商品と接し、購入する意思やブランドへの第一印象を決める瞬間のことを指します。
そもそもMOTは「FMOT」「SMOT」「TMOT」の3つの理論で広まっていたみたいですが、2011年にGoogleが「ZMOT」を提唱したそうです。
それではそれぞれを簡単に見ていきましょう。
まずZMOTです。
ZMOTは消費者は購入するものを店舗を訪れる前に決めるというプロセスになります。
次にFMOTです。
FMOTは、消費者が店舗の商品を3〜7秒ほど見て購入するかを決定するというプロセスがあります。
3番目のSMOTは、購入した商品を実際に使ってみて継続して購入するかどうかを決めるプロセスとなります。
そして最後のTMOTです。
TMOTは消費者が商品に愛着がわき、リピーター・ファンになるというプロセスになります。
SNSが情報収集の中心となった購買行動モデル
続いてSNSが誕生してからの購買行動について見ていきましょう。
SNSの誕生により新たな購買行動モデルが誕生しました。
VISAS(ヴィサス)
Viral 口コミ |
消費者が、SNSを目にすることで商品を認知する |
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Influence 影響 |
消費者は、口コミを発信した人物の影響を受ける |
Sympathy 共感 |
口コミの発信者や理念に共感する |
Action 行動 |
商品やサービスを購入する |
Share 共有 |
商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューの投稿をする |
VISAS(ヴィサス)と呼ばれるモデルです。
VISASでは、SNSの口コミや投稿によって、消費者が商品やサービスを認知する可能性が広がることを示唆しています。個人が影響力を持てる仕組みができたことにより、消費者が商品やサービスを認知するところから評価するまでの一連のプロセスを「共感」による行動が占めています。
商品が欲しいというだけではなく、レビュアーである人物そのものの影響を受けて購買に至る行動モデルになります。
SIPS(シップス)
Sympathize 共感する |
消費者が企業や知人からの情報に共感する |
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Identify 確認する |
消費者が共感した内容を口コミやネット検索で確認する |
Participate 参加する |
共感したことを「いいね」や購入などの行動で表す |
Share&Spread シェア&拡散する |
参加や購入という動きを拡散、共有する |
SNS上での発信に対して「いいね」や拡散などを行い、気軽な気持ちで参加するという消費者行動がポイントです。
購買に至らなくても「なんとなく」や「ちょっといいかも」「知人に知らせたい」などさまざまな心理からアクションを起こします。
商品やサービスに関する情報の渦に参加していくという個々の行動が、結果的にマーケットを大きく広げることに繋がります。
ULSSAS(ウルサス)
(ユーザー投稿コンテンツ) |
消費者の投稿を見て商品・サービスを知る |
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Like いいね! |
投稿に「いいね!」をする |
Search 1 SNS検索 |
SNSで検索する |
Search 2 |
検索エンジンで検索する |
Action 行動 |
購入する |
Spread 拡散 |
SNSで拡散する |
ULSSAS(ウルサス)は、2019年に提唱された新しいモデルです。
UGCとは「User Generated Content」の略で、日本語に訳すと「ユーザー作成コンテンツ」となります。
消費者が作成したSNSなどのコンテンツで認知され、さらにSNSで検索して購入されるというフローの購買行動モデルです。
コンテンツマーケティングで情報収集する購買行動モデル
コンテンツマーケティングとは、商品やサービスを求めている顧客が欲しい情報をコンテンツとして提供し、最終的に購買につなげるというマーケティング手法です。企業でもブログ記事やコラム、動画の投稿などを積極的に行っています。このコンテンツマーケティング時代にマッチする購買行動モデルは、DECAX(デキャックス)です。
DECAX(デキャックス)の法則
Discoverery 発見 |
消費者が情報コンテンツを見つける |
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Engage 関係 |
消費者と企業の関係を深める |
Check 確認 |
消費者が企業の商品やサービスを確認する |
Action 購買 |
消費者が商品やサービスを購入する |
Experience 体験共有 |
消費者が商品やサービスを購入した体験をシェア、拡散する |
DECAX(デキャックス)の法則では、コンテンツの読者や視聴者と情報提供元の企業との関係構築が鍵となります。
コンテンツマーケティングの購買行動の特徴は、消費者が自ら情報を求めて集まってくれるところです。
集まってくれた顧客に購買行動を起こさせるためには、良質なコンテンツを継続的に提供し、関係構築や信頼を得るというハードルがあります。