ユーザーを理解するために
初めに
ユーザーを理解するためには、想像力を働かせ消費者に成りきること(共感力)です。
マーケティングを行う上で、とても重要なことですが、とても難しいですよね。
- そもそもどうやって自分では無い他人に成り切るのか
- どんな人を想像すれば良いのかわからない…
今回は、鈴木祐さんの「ヒトが持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング」
に書かれていた、共感力を没入アプローチと共感マップを使って、消費者の脳内に潜り込んで感情や価値観を「自分ごと」として体感しましょう。
共感力とは
想像力を働かせて、他人の脳に潜り込み、その人(消費者)の視点から世界を見て感じる能力のことを「共感力」と言います。
この共感力は現代では、IBMやインテル、adidas、ファイザーといった世界的にも有名な企業が共感力を使ったリサーチを行なっており、「イノベーションの第一条件」と言われているそうです。
またデータとしても、こういった数字が出ています。
- 新しい製品の75%が発売1年以内に失敗し、販売停止となっている
- 成功した残り25%の製品は「消費者と同じ立場、境遇に身を置いて考え、根本的な欲望を明らかにする」といったプロセスを踏んでいた
こういった結果からも、共感力を使うことで、商品・サービスがヒットする必然を作る確率を高めることができますね。
この共感力を使ったリサーチはいくつもあるそうですが、現時点では「没入アプローチ」と呼ばれる方法が最も優れていると言われています。
没入アプローチとは
没入アプローチとは、消費者の生活をそのまま体験してみる方法のことを言います。
近年ではNIKEやディズニーでも没入アプローチが採用されているそうです。
この技法の基本はとてもシンプルです。
- ユーザーの属性を明らかにする
- できるだけその人に近い暮らしをする
1. ユーザーの属性を明らかにする
初めのステップとして、商品・サービスを使うユーザーがどんな人かを考えてみましょう。今回はECサイトを利用するユーザーを例に考えてみます。
- セール品を購入したい主婦
- トレンドに敏感な若者
- デートするために洋服が必要となった男性
などたくさん挙げられます。
2. できるだけその人に近い暮らしをする
次に1.で考えたユーザーから絞り込んで、彼らの生活を実際に体験してみることです。
この時、観察者ではなく、消費者の暮らしとして参加することが大切です。
現代最強のマーケターと呼ばれる「森岡毅」さんも、モンハンを400時間プレイ、ドラクエは7000時間プレイされたそうです。
他人の暮らしを完全に再現することは不可能ですが、できる限りユーザーの実生活を心かけることでユーザーが求めていることが見えてきます。
そして消費者目線から下記の項目について1日の感想を記録しましょう。
今回は、週末に女性とデートの予定が入っている男性について考えたいと思います。
- 感情の種類は?
- どのような感情を抱いたか
- デートが楽しみ。(ワクワク)
- どんな服を着て行ったらかっこいいと思ってくれるか。(期待)
- 自分に合った服ってなんだろう。(不安)
- ダサいと思われたら嫌だな。(不安)
- どのような感情を抱いたか
- 場所・状況
- その感情はどの場所で起きたか
- 家で携帯を見ているとき
- その感情はどの場所で起きたか
- 何をしているか?
- その感情を抱いた際に、どんな行動をとったのか
- Instagramでデート服 20代と検索する
- モテる服装について検索する
- トレンドの服について検索する
- その感情を抱いた際に、どんな行動をとったのか
- 誰と一緒にいるのか?
- その感情を抱いた際に、誰かがいたのか
- 家で一人
- その感情を抱いた際に、誰かがいたのか
- 背景の欲望は何か?
- 今の感情や欲求に明確な原因はあるのか?
- 女性と付き合いたい
- 女性にアピールしたい
- 今の感情や欲求に明確な原因はあるのか?
- その奥にある「本能」は何か?
- 相手にアピールしたいといった欲望の本能
と今回はとてもざっくりした感じですがこれを時系列で1時間ごとで良いので、
その時の感情を記録していきます。
没入アプローチは自分を見つめ直す際にも効果がある
没入アプローチは他人の暮らしを類似体験することが基本のアプローチですが、この手法を自分自身に使用しても効果を得ることができます。
やり方は上記と同じで、いつもの生活をし、その時の感情を記録しましょう。・
「今私はどんな感情を持っているのか」を自問自答し、普段の自分が味わっている感情の変化についてを意識します。
自分自身のライフスタイルを記録することで、「自分自身が本当に望んでいることが気づく」ようになります。
共感マップとは
没入アプローチはとても強力な手法ですが、簡単に使えないデメリットがあります。
他人の生活を体験することは大変ですし…
そういった時に、著者は「共感マップ」を使えば良いよ!とお勧めしてくれています。
共感マップとは、特定の人物をイメージした上で、その人の思考と感情について考えるテクニックで、没入アプローチよりも簡単に実践することができるのが特徴です。
共感マップについては、ビジネスの世界ではお墨付きだそうで、スタンフォード大学の経済学コースでも教えているそうです。
共感マップの進め方
- 主人公(商品・サービスを買って欲しいユーザー)を設定します
- 例:山田太郎さん 30歳男性 趣味はサウナ
- 主人公は商品・サービスを使う際にどんなものを見ているのかを考える
- 普段着はユニクロ。自分の部屋はモノクロで揃えている。
- 主人公が言いそうなことやとりそうな行動を考える
- そろそろ結婚したいなあと友人に話している
- 全然出会いがない。どうやって出会うのかわからない。
- 主人公は商品・サービスを使う際にどんな言葉を聞いているのかを考える
- 友人から「完璧主義だ」とよく言われる
- もっと積極的に行動しないと言われる
- 主人公は商品・サービスを使っているときにどんな感情になるのかを考える
- マッチングアプリで出会うのは恥ずかしい
- 主人公は商品・サービスを使う際に恐れていること、悩みはどこにあるのかを考える
- 本当に出会えるのか?(不安)
- 主人公は商品・サービスを使う際に、心から必要としているものはないかを考える
- 女性と付き合って結婚したい
- その奥にある本能は何かを考える
- 自分を受け入れてくれる人を見つけたい(属する本能)
実践してみて
簡単に没入アプローチと共感マップについて実践してみましたが、どうだったでしょうか。
今回は本当に簡単にしか掘り下げませんでしたが、これを実践することで消費者の頭の中になりきることができると思います。
私自身これまでこういった考え方をしてこなかったため、「とても難しかった」が正直な感想ですが、いろんな場面で実践していこうと思います。